大判例

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広島高等裁判所岡山支部 昭和25年(う)229号 判決

記録を精査すると原審は昭和二十四年十二月三日昭和二十五年一月十七日同年二月四日同年二月十一日の四回開廷し第一、二回は審理をせず昭和二十五年二月四日の公判で初めて審理に入り裁判官の人定質問の後検察官の起訴状朗読があり次いで検察官の証拠調の請求があり起訴状朗読後刑事訴訟法第二百九十一条刑事訴訟規則第百九十七条所定の所謂黙秘権の告知を怠つて居ることは所論の通りである。黙秘権が憲法第三十八条に由来する訴訟上の大原則であつて刑事訴訟法第三百十一条に対応する重要規定であることは勿論であるがこれらの規定は自白 重の糺問的取調方法を戒める点に重点がおかれて居り此の点から見て被告人に対しても供述を強要するものでないことを明かにしたもので黙秘権の告知を怠つた一事を以て直に其の後の供述の証拠能力がなくなると解すべきではなくその供述に任意性が認められる限り証拠能力があるものと解すべきで原審第三回公判調書の記載に依れぼ裁判官が右の起訴状朗読後黙秘権の告知を怠つた場合に検察官或は被告人本人及び弁護人の方からも異議を述べることなく経過し被告人は弁護人の裁判官に告げての問に対しても本件犯行の動機等詳細に述べて居り審理の最後に裁判官の最終に何か陳述することがあるか什うかの問に対しても別にありませんが何卒寛大に願いますと述べて居るところから見て原審に被告人の右の供述内容自体から任意性があるものとして被告人の供述等を証拠としたものと解せられるから訴訟手続に法令の違反はないから所論は理由がない。

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